2023年より男女の会場を分け、ハワイ島コナとフランス・ニースで男女交互開催となったアイアンマン世界選手権。ハワイ島コナで男子世界選手権が開催されるのは、2022年以来2年ぶりとなります。
3.8kmのスイムパートから激しい先頭争いが繰り広げられます。スイムアップの段階で、ヴォンバーグや、2021年アイアンマン世界王者のクリスティアン・ブルンメンフェルト(ノルウェー)を含む22人の先頭集団が形成され、後続の選手たちとの差を広げます。
180kmのバイクパートでは、昨年のアイアンマン世界選手権覇者であるサム・レイドロウ(フランス)が、自らが持つコナのバイクパート記録を約7分更新する圧巻の走りを見せます。前後ともにCADEX Aero 4-Spoke WheelSystemを装着したFactor HANZŌを駆るヴォンバーグは、ランパートを見据えつつも快走を見せ、11位でバイクパートを終えます。
バイクパートで他を圧倒したレイドロウでしたが、ランパートではその代償を払うことに。中盤にかけてペースを落としたレイドロウに対して、ヴォンバーグを含む他の有力選手たちが差を詰めていきます。残り10マイルになると、脚を残していたヴォンバーグが力強い走りを披露し、他の有力選手をパスしながら表彰台を射程圏内に捉えます。
世界王者の座は、コナのコースレコードを更新したパトリック・ランゲ(ドイツ)の手に。16名の選手が8時間以内にフィニッシュした歴史的な高速レースで、ランで優位に立ったヴォンバーグが3位表彰台を獲得しました。
ヴォンバーグはアメリカで生まれた後に移住し、高校卒業までをフランスで過ごします。その後アメリカに戻り、コロラド大学ボルダー校に進学すると、大学トライアスロン全米選手権で2度の優勝を果たします。現在もボルダーに居を構え、トレーニングを続ける30歳が、初めてコナを訪れたのは5歳のときのこと。アイアンマンに出場する父親のロドルフ・シニアを応援するためでした。
「5歳のときに、父がここでレースする姿を見て以来、コナでの活躍をずっと夢見てきました。本当に最高の気分です」とフィニッシュ後に語ったヴォンバーグ。キャリア最高のリザルトを残すことに成功した今回のレースを、次のように振り返ります。
「スイムパートは順調にこなせて、先頭集団に入りつつも、自らをコントロールできている感じがありました。スタートから身体がよく反応してくれたので、今日は調子がいいと感じました」
「バイクパートはとてもペースが速く、かつペースが何度も変わりました。集団の人数が多く、抜け出すのがとても難しかった。しばらくワット数を上げてから、丘越えで抜け出そうと試みたのですが、結局は集団内でレースを進めざるを得ませんでした」
「しかし、バイクパートの終盤では皆が疲れている様子で、残り20〜30kmは、集団が少しずつ崩れていくのが分かりました。最後のランパートはなんとか3位まで押し上げて、最後まで持ちこたえました」
一方、優勝候補の一角として注目を集めたブルンメンフェルトはバイクパート中盤から胃の不調に悩まされ、その後は耐えるレース展開を強いられます。話題を呼んだアグレッシブなライディングポジションでバイクパートを9位で終えたものの、ランでは本領を発揮できず、35位でレースを終えました。
2024アイアンマン世界選手権コナ 結果
1位: パトリック・ランゲ (ドイツ)
7:35:53(スイム47:09、バイク4:06:22、ラン2:37:34)
2位:マグナス・ディトレフ(デンマーク)
7:43:39(スイム48:18、バイク4:02:52、ラン2:46:10)
3位:ルディ・ヴォンバーグ(アメリカ)
7:46:00(スイム47:18、バイク4:05:49、ラン2:48:11)
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