男子ロードレース:地元パース出身のダ―ブリッジが2度目の勝利
その牽引力でチームに貢献するベテランアシストのルーク・ダ―ブリッジは、このレースで最初のアタックを決めると、そのままフィニッシュラインまで逃げ切って勝利。ダ―ブリッジにとっては2度目のオーストラリア選手権制覇で、前回の優勝は12年前まで遡ります。地元パースの友人や家族の前で掴んだこの勝利は、まさに夢のような瞬間となりました。
CADEX 50 Ultra Disc WheelsystemとCADEX Aero Integrated Handlebarを使用するダーブリッジは、177kmのレース序盤から積極的に動き、スタートから10km地点でアタック。序盤はパリ五輪のトラック・チームパーシュートで金メダルを獲得したコーナー・リーヒ(CCache)と共に逃げますが、残り80km地点でダ―ブリッジは単独先頭に立ちます。後方ではTeam Jayco AlUlaがメイン集団をコントロールし、ルーク・プラップやケランド・オブライアン、マイケル・ヘップバーン、クリス・ハーパーが追走の動きを封じこめました。
残りの距離が減ると同時に、ダ―ブリッジとメイン集団のタイム差も減る中、最終周回に入る直前でプラップが動きを見せます。ロードレース3連覇中のプラップは、ライバルたちに追いつく隙を与えず、鋭い加速でダ―ブリッジに合流することに成功。2人は協力し合い、後方からの追撃をかわし切ります。
ホームストレートに戻ってきた2人と、追走とのタイム差は1分以上となり、Team Jayco AlUlaが勝利を確実とします。そして、歴史的な4連覇がかかったプラップと、地元パース出身のダ―ブリッジの、どちらが勝つのか。その行方に大勢のファンが注目するなか、先頭でフィニッシュしたのはダ―ブリッジでした。2位にはプラップが入り、チームプレイが結実した特別な1-2フィニッシュで、オーストラリア選手権を締めくくりました。
「本当に素晴らしい一日でした。チームメイト全員に感謝しています。彼らが全力でメイン集団をコントロールしてくれたおかげで、私は自分の走りに集中することができました」とレース後のダーブリッジ。
「かなり早い段階から全開で走りました。少し無謀だったかもしれませんが、これが私のレーススタイルなのです」と続けます。レース最終盤の展開については「追いついてきたプラップが『自分が牽くからついてきて!』と言ってくれました。本当に紳士的な彼に感謝しています。このことは一生忘れません」と語りました。
「今日はDurboの日だ」と話すのは2位のプラップ。「彼は長年、オーストラリアの自転車競技界に多大な貢献をしてきました。最後に彼がこのジャージを手にしたのは12年前のことですが、その後の12年間、彼はアシストに徹してきました。彼の地元で開催されるオーストラリア選手権がどれほど特別な意味を持つものか、特にTTでの不運の後では、それを誰もが理解していました。彼が今日、自らの力を証明してくれたことに、大勢が涙し、彼の勝利を心から喜んでいます」と先輩であるダ―ブリッジを称賛しました。
女子ロードレース:育成チーム所属のルシンダ・スチュワートが大金星
109kmで争われた女子ロードレースでは、Liv AlUla Jaycoの育成チームであるLiv AlUla Jayco WCTに加入したばかりのルシンダ・スチュワートが勝利。弱冠20歳の若手ライダーが、移籍後のロードレース初戦で大金星を挙げました。
エリートとU23の混走となった女子ロードレースは109km(=13.6kmx8laps)で争われ、前回優勝のルビー・ローズマンギャノン(Liv Jayco AlUla)など、経験豊富なワールドチーム所属プロが勢揃い。CADEX 50 Ultra Disc Wheelsystemを使用するスチュワートは、2周目に形成された5名の逃げ集団に入り、若さとは対照的な熟練したレース運びを見せます。
先頭集団とメイン集団の差は1kmごとに広がり、タイム差は最大6分に達します。一方のメイン集団は、ワールドツアーチームや有力選手たちが協調できなかったことにより、追走のペースを上げることができず。この状況をLiv Jayco Alulaはチャンスと捉え、メイン集団内の動きをチェックしながらも、スチュワートに勝機を見出します。
残り20kmを切った時点でタイム差は依然として3分以上。2日前にクリテリウムでオーストラリア王者に輝いたアンバー・ペイト(Liv Jayco AlUla)がアマンダ・スプラット(Lidl-Trek)と共に追走を仕掛けるも、先頭に合流することは叶わず。勝負の行方は、序盤から逃げた5名に絞られました。
優勝をかけたスプリントは、2名がやや先行する形で始まり、番手から加速したスチュワートが先頭でフィニッシュ。U23とエリートの両クラスを制し、キャリア最大の勝利を手にしました。
ルシンダ・スチュワート(Liv AlUla Jayco WCT)のコメント
「いつもの私のレーススタイルとは異なりますが、チームに様々な手札があることを考えながら、出来るだけ長く逃げることが今日の役割でした。そして、偶然にも今日は逃げ切ることができました」と語るスチュワート。「このチームに加わって僅か1週間ですが、既に家に居るような心地の良さを感じています。このチームの文化はとても特別で、小さな頃からチームの選手たちに憧れていたので、このチームの一員になれたことを、とても誇りに、そして嬉しく思います。」
男子タイムトライアル:プラップが3度目の優勝
優勝候補最右翼で前回大会覇者のプラップは、初めてオーストラリア選手権タイムトライアルを迎え入れるパースの新コースでも快進撃を見せます。
38.4kmで争われた男子タイムトライアルでは、2位に20秒の差をつけて、全ての中間を計測地点でトップタイムをマークします。2023年覇者のジェイ・ヴァイン(UAE Team Emirates-XRG)が終盤にかけて追い上げたものの、8秒のタイム差をつけてフィニッシュ。昨年のパリ五輪で無念の落車リタイアを喫して以降、主要大会では初のTTとなった今大会を、平均時速50km/h、46分33秒という素晴らしい記録と共に制しました。
3位に入ったチームメイトのケランド・オブライアンが表彰台を獲得し、クリス・ハーパーが4位、マイケル・ヘップバーンが5位でフィニッシュ。トップ5に4名を送り込むことに成功したTeam Jayco AlUlaは、全員がCADEX Aero WheelSystemを使用しまいた。
ルーク・プラップ(Team Jayco AlUla)のコメント
「このレースで勝負できるのかを早い段階で確信するために、序盤から全開で走りました。パリ五輪も含め、しばらくはTTで良い走りができていなかったため、序盤からハイペースでいこうと考えていました。いち早くトップに立つことができれば、精神的にプラスになることを理解していましたし、そこからは粘るのみです。結果的にハイペースを保つことができました。」
女子タイムトライアル:ペイトが2位表彰台を獲得
28.8kmで争われた女子タイムトライアルでは、アンバー・ペイト(Liv Jayco AlUla)が2位表彰台を獲得。レース後ペイトは「この―スに向けてとても良い準備ができました。過去2、3年はTTのトレーニングに集中してこなかった一方で、トップとのタイム差が予想していたよりも小さかったので、この結果には満足しています。来年はチームのために、もう1つ順位を上げることができれば良いですね」とコメントしています。
女子クリテリウム:ペイトが独走勝利
タイムトライアルとロードレースの合間に開催されたクリテリウム。女子レースではペイトが独走勝利で2回目の優勝を果たし、タイムトライアルに次ぐ2日連続の表彰台獲得となりました。
優勝候補を多数抱える有力チームとして、オーストラリア選手権クリテリウムに参戦したLiv Jayco AlUla。優勝経験者であるペイトやローズマンギャノン、チーム移籍後初戦となるジョシー・タルボットら3名がスタートラインに並びました。
穏やかな展開でスタートしたレースは、ペイトのアタックによって活性化し、19歳のキーラ・ウィルだけがペイトとの合流に成功。Liv AlUla Jaycoが動きを封じたことで追走のペースを上げることのできないメイン集団に対して、先頭2名はすぐさま大きなタイム差を稼ぎだします。そして、2名がメイン集団の後方を視界に捉えたところで、ペイトが再びアタックし、単独先頭に立ちます。
その後、メイン集団が周回遅れとなるのを防止するためにレースは短縮となり、メイン集団が激しい着順争いを繰り広げる一方で、ペイトは勝利を噛みしめながら単独先頭でフィニッシュラインを通過しました。
Liv AlUla Jaycoにとって4年連続となるオーストラリア選手権クリテリウムの勝利で、ペイトにとっては2023年に次ぐ2度目の優勝となります(ペイト:2023/2025年、ローズマンギャノン:2022年/2024年)。
アンバー・ペイト(Liv AlUla Jayco)のコメント
「チームのためにやり遂げることができて、正直にとても嬉しく、誇りに思います。昨日タイムトライアルを走ったので少し疲労を感じていましたが、長距離アタックが武器になると考えていました。どれぐらい長くペースを保つことができるかは分かりませんでしたが、しっかりと踏んで、ミスなく脚を休めながらコーナーをこなすことを意識しました。チームは本当に素晴らしく、全員が正しい心構えで臨みました。今日は誰でも勝てたはずです」